ニキビ跡のうち、隆起するものを肥厚性瘢痕、くぼんだものを陥没性瘢痕といいます。 瘢痕とは、医学的には治癒の状態です。治癒という言葉は、医師と患者さんではだいぶとらえ方・イメージが異なります。患者さんのイメージでは、治癒とは完全にあともなく治ることと思われるようですね。しかし、皮膚に何らかのダメージが加わった場合、瘢痕(あと)は必ず残ります。それは切り傷でもやけどでも手術でも同じです。人が生きていく上で、皮膚に何の傷もつかないことはありえません。今のところ、残念ながらできてしまった傷跡をそれ以上治す(つまり傷がなかったことにする)治療はありません。 とはいえ、皮膚は常に生まれ変わっている組織でもあります。 ニキビの陥没性瘢痕の治療には大きくふたとおりがあります。 1)陥没した組織を埋める 皮膚のくぼみに、注射でヒアルロン酸などを注入すると、周囲の皮膚と同じ程度まで陥没を埋めることができます。ただし効果は半年くらいで、再び注射する必要があります。 2)ケミカルピーリング 皮膚の表面をフルーツ酸でうすく剥離することにより、皮膚の再生と代謝を促す方法です。ただし、お肌の弱い人は赤くなったり、ひりひり、かさかさなど副作用もありえます。1回では効果はなく、月に1回程度で数回以上繰り返して反応を見ます。 当院では2)はできますが1)はお取り扱いしていません。 2008年に日本皮膚科学会が発表した『にきび治療ガイドライン』では、さまざまな治療をその有効性によりA(有効)からD(無効または有害)にランク付けしています。瘢痕に対してランクAと認定された治療は残念ながらありません。ケミカルピーリングはランクCに該当し、『試みてもよいが推奨はしない』という評価になっています。効果がないわけではなく、個人差の問題と、保険のきかない自費治療である点からそのようにランク付けされました。以上ご承知いただけるなら、やってみてもいいかと思います。 ただし、テレビの大画面で見る女優さんのようなすべすべ肌...とまでは、今の医学では無理かと思います。あなたのお肌はあなたのもの。頑張ってきたご自分のお肌をいとしんであげてください。
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